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東京高等裁判所 昭和50年(ム)36号 決定

抗告人

東興開発株式会社

右代表者

加藤一成

主文

本件再審申立を却下する。

理由

本件申立の要旨は、「原決定を取り消し、更に相当の裁判を求める。」というのであり、その理由については、申立書に追つて提出する旨記載があるけれども、現在までその提出がない。抗告の申立は原裁判に不服である旨を主張すれば足り、その不服の理由を申立自体において主張する必要はないが、再審抗告については事情は異なる。すなわち再審は確定した裁判に対して法定の事由のある場合に限つて許されるのであるから、申立自体においてその再審事由を主張するものでなければならない。もつとも、申立においてその事由を欠いてもこれについて裁判のある迄に自ら欠缺を補正することは許されるであろうけれども、本件のように再審抗告を申し立てた抗告人が民事訴訟法第四二〇条第一項に掲げる再審事由を主張すべきことを充分弁えながら、単に原決定の取消を求めるのみで、右再審事由を全く主張せず、結局、裁判所において抗告人が原決定を不満とする理由を知りえないような場合には、当該再審抗告は不適法としてあえて欠缺補正のための催告を要せず、直ちにこれを排斥するのを相当とする。

よつて本件申立は不適法として却下することとし、主文のとおり決定する。

(浅沼武 蕪山厳 高木積夫)

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